災害対策研究班 「KidCu都」

災害対策班としての挑戦

これまで,災害対策研究班では,学外に出て発表を行ったことはありましたが,コンペに応募することは初めての試みでした。コンペに参加することを決めてから,応募締め切りまでの時間が短かったこと,当初考えていた案が行き詰まり,代案を考えざるを得なかったことなどの理由から,応募する直前まで作業を行っていました。

第1案のメインテーマはおっぱいでした。おっぱいは小さい子どもを魅了してやみません。このことから,私達は,本来建築はおっぱいのようにあるべきと考察しました。しかし,おっぱいと建築を結びつけるのは,いささか短絡的であり,最終的には建築を考えるスケールとしておっぱいを用いることに帰結しました。しかし,おっぱいをスケールに用いることは,本当に必要なのかという,自明のような疑問が全体に浮上したためこの案は頓挫しました。

そして第2案がこのKidCu都です。

この案は子ども達に,

①建築や都市を身近に感じることから,建築が面白いという本質
②グループで,一つの物を作ることから責任感や協調性

を学んでもらうことを目的にしました。

KidCu都では,子ども達が自分の役割に入り込みやすいように,簡単なストーリーを制作しました。大まかなストーリーは,チョコレートでできたまちが,地球温暖化により溶けて消えてしまい,子ども達にお菓子の箱で再建してもらうというものです。地球温暖化という時好の災害対策研究班らしいワードと,子どもの親しみのあるお菓子の箱を用いることで,私達の色と求心力の両方を出すことができると思ったからです。そこで,キットカットというお菓子,子どもが工作するという意味のKIDとCUT,そしてまちを意識する都を掛け合わせKidCu都という構想ができ上がりました。お菓子の箱を用いることは,求心力があることに加えて,

①普段から扱っているため,形や大きさを把握しやすい
②箱の色彩を利用した都市機能の見える化ができる
③多様な形をしていることから,子ども達の柔軟で豊かな発想力に対応できる

などの利点があり,非常に合理的でした。まず,子ども達にはビルディングタイプカードを見てもらいます。これには,建物の種類,色が書かれており,選んだカードを元に子ども達はまちづくりに取り掛かります。

つぎに,この写真は,実際にお菓子の箱を用いて作ったスタディ模型です。お菓子の箱を利用した建築模型完成後,1/50スケールで自分の分身を作り,まちに配置して自らがまちの一員であることを学びます。

プレゼン当日

当日は,以上の準備物を用いて,プレゼンテーションを行いました。しかし,

①紙芝居を相手に見せる際,文字と指が重なり相手に見えない
②展示スペースの都合上ボードのすぐ前に立たなければならず,映像や模型が相手から見えづらくなってしまう

などの問題が生じました。また,コンペの内容を十分に伝えきることができず,審査員の中には「何を伝えたいか分からない」とおっしゃっていた方もおり,成功したとは言い難いものになってしまいました。

感想

今回のコンペを通じて,相手に意見を伝えることの難しさや,準備に必要な期間など,様々なことを学ぶことができました。プレゼンテーションに向けて準備したものの多くは,良い結果を生み出すことができませんでした。しかし,その中でも一つだけ手ごたえを感じたものがあります。それは,プレゼンボードです。これは,数々の建築雑誌を手掛けてきた植田実氏から「よくここまできちんとグラフィックをまとめたと思う。適当に書いているところが全くない。」との高評価をいただき,自分達の培ったものが評価されたと考えています。今後,より良い案を作り,またコンペに参加したいと考えています。